20世紀も末に近づいた1980年代中ごろ、世界中の港に面した街では、同時多発的にウオーターフロント開発が始まった。ロンドン・テムズ河畔のドックランズ開発、ニューヨーク・マンハッタンのサウス・ストリート・シーポートなどの再開発に注目が集まり、話題の観光スポットにもなった。
日本国内でも、神戸、大阪、横浜、東京、千葉などが埋め立てをさかんに行い、ウオーターフロント開発にしのぎを削ってきた。
東京湾では、横浜のみなとみらい21地区の街づくりが1985(昭和60)年ごろから進み、1989(平成元)年には横浜博覧会(YES'89)を開催、その跡地に新市街が生まれた。千葉の幕張新都心は「職・住・学・遊」が融合した新しいライフスタイルが楽しめる街となった。平成元年に幕張メッセが開場、東京モーターショーが開催され大型見本市のメッカとなった。
都が策定した7番目の副都心である東京臨海副都心。それは、東京港埋立地10号地に属する江東区有明と、13号地に属する港区台場・江東区青海・品川区東八潮からなる。建設はバブル絶頂期の平成元年から始まったが、翌年のバブル崩壊で企業進出のキャンセルが相次ぎ、開発計画の見直しを迫られた。予定されていた「世界都市博覧会」は中止されたが、1993(平成5)年にはレインボーブリッジが開通、1995(平成7)年に新交通ゆりかもめが新橋―有明間に、1996(平成8)年には東京ビッグサイトがオープン。1997(平成9)年にはフジテレビ本社、前後してホテル日航やホテル・グランパシフィック・メリディアンができた。近年ではアミューズメントやショッピング施設が次々に開業し、週末の気軽な観光地としてにぎわっている。
みなとみらいの街づくりが始まった横浜博覧会跡地 1989(平成元)年12月 ⓒ毎日新聞社
JR桜木町駅東口から見たみなとみらいのビル群と大観覧車 2018(平成30)年3月 髙橋勝視撮影
街づくりが始まった千葉市美浜区の幕張新都心。奥左からマリンスタジアム、幕張メッセ、右端が幕張テクノガーデン 1989(平成元)年11月 ⓒ毎日新聞社
幕張海浜公園大芝生広場から見たホテル ザ・マンハッタン(左)、ホテル グリーンタワー幕張、マリブウエスト、イースト、右端の2棟が幕張テクノガーデン 2018(平成30)年3月 髙橋勝視撮影
江東区青海の東京テレポートタウン用地 1989(平成元)年12月 ⓒ毎日新聞社
お台場ウエストプロムナード・セントラル広場から見た東京タワーとレインボーブリッジ。左はホテルグランドニッコー東京台場、「自由の炎」像、ダイバーシティ東京とフジテレビ本社(右奥) 2018(平成30)年3月 髙橋勝視撮影